Information お知らせ
平成 30 年度舞台芸術プログラム・ディレクター ウォーリー木下氏 就任について
この度、平成 30 年度より、神戸アートビレッジセンターの舞台芸術プログラム・ディレクターとして、ウォー リー木下氏が就任する運びとなりました。
1. 概要
神戸アートビレッジセンターは、平成 8 年に新開地に開館した複合文化施設で、演劇・舞踊、美術、映像、 地域を 4 つの分野を軸に事業を実施しています。事業を展開するうえでの重要なミッションの一つに、若手 芸術家の育成と実験的な試みへの支援を掲げており、そのための舞台芸術プログラム・ディレクターとして、 演出家のウォーリー木下氏が就任します。
2. 舞台芸術プログラム・ディレクターについて
若手芸術家の発掘・育成、および次の潮流をつくる若手の芸術文化活動への支援プログラムの充実をはかるため、神戸アートビレッジセンターでは、新たに「舞台芸術プログラム・ディレクター」制度を導入します。 舞台芸術プログラム・ディレクターは以下の 3 点を行います。
(1)舞台芸術分野の新進芸術家・カンパニー育成・支援プログラムの策定
(2)上記プログラムで紹介する新進芸術家およびカンパニーの選定
(3)その他、目的を達成するために付随する事業の実施
3. ウォーリー木下氏について
演出家。神戸大学在学中に劇団☆世界一団を結成。現在は sunday( 劇団☆世界一 外部団を改称 ) の代表で、全ての作品の作・演出を担当。戯曲家・演出家として、 公演も数多く手がけ、特に役者の身体性を重視した演出に定評がある。
sunday での活動にとどまらず、映像や音楽を取り入れた言葉を発しない、ノンバーバルパフォーマンス集団 THE ORIGINAL TEMPOのプロデュース・演出を行い、エジンバラ演劇祭にて5つ星を獲得。 スロベニアや韓国、ドイツなどと国際共同製作を行うなど、海外からも高い評価 を得ている。
11 年に PLAY PARK- 日本短編舞台フェス、13 年に多摩 1 キロフェスを立ち上げるなど様々な演劇祭でフェスティバルディレクターを務めている。
メディアアートとパフォーミングアーツの融合で注目を集め、従来の” 演劇” と いう概念を超えた新しい挑戦をし続けている。
《KAVC舞台芸術プログラム・ディレクター 就任の挨拶》
僕にとって“足を向けて寝られない劇場”のひとつがKAVCだ。
22年前、こけら落としの一環を劇団でさせてもらった。演出家として初めて仕事を戴いたのもこの劇場だ。
プロデュース公演を何度もやらせてもらった。新しい俳優やスタッフと出会った。もちろん観客にも。僕がまだ20代の頃だ。
ひとつの劇場で繰り返し、様々な演劇をつくれたことは、演出家にとって、大きな自己鍛錬と成長に繋がった。
その中でも「ロビーストーリーとねずみの秘密」と「ヤング!ジャンプ!」というふたつの舞台は自分のターニングポイントとなった。その恩義をお返ししたい、というのが今回この役職を受けようと思った最大の理由だ。
僕が今あるのはKAVCのおかげ。
僕のようにまた別の演出家なり演劇人にこの劇場を自己鍛錬と成長の場にしてもらえるよう今度は僕が新しい機会を創れたらいい。それがひいては関西小劇場の愉快な起爆剤にでもなってもらえればそれにまさる喜びはない。
まず2018年には、いろんな人に会いたい。
そのために、ひとつは「ワークショップ&公開座談会」という形で専門家の人たちにKAVCに集まってもらいワークショップと鼎談をしたいと思う。
もうひとつは9月に「KAVCアートジャック2018(仮)」を開催、全スペースを解放し、様々なアーティストの人たちに利用してもらえるようにする。
そこには演劇人はもちろん映画、音楽、美術、様々なジャンルの人たちが参加できるようなものになるとよい。
そして2019年には、僕がプログラムした演目をできれば毎月(おそらく10回くらいになると思うが)上演して、観客の皆さんとアーティストの皆さんそして批評家のみなさんを繋げていきたい。
今関西の演劇シーンで沸々とわき始めていることを可視化できるようなラインナップになるべくつとめる。
同時に海外のカンパニーを神戸に呼ぶ仕事もはじめる。
なるべく異なる文脈を持った人たちを混入させることで、若い演劇人にとって新しい刺激になるとうれしい。
KAVCから海外に直接つながるような仕組みがあればきっと今までとは違う展望も生まれるのではないか。
そして参加アーティストのみなさんの横の交流が持てるようなことを2020年にかけて行っていく。
なにか地に足のついたことをKAVCだからこそできる方法で見つけられたらよい。
劇場ひとつでできることは限られてはいるけれど、KAVCという場所が「ルールの少ない公園」のような場所になると良い。そこで自然と劇団やアーティストが育っていくような空間。
などと偉そうに話している僕自身もまだまだ新しいものを生み出していきたいので、なんならKAVCで作品をつくることも考えていきたい。
人を育てるなんて大げさなことは苦手なので、一緒に遊びながら僕自身も成長できる機会にしてみたい。
手探りではじめることなので、ご迷惑をおかけすることもあるかもしれません。
ぜひともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
ウォーリー木下