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僕はある日、なぜか急にぶらんこが作りたくなって、公園へ行きました。いつも持ち歩いている巻尺を手に、ぶらんこの寸法を測っていると、おとこの子がやってきました。おとこの子はぶらんこに乗りたがっているようでしたので、ここはぐっと引き下がって、様子を見る事にしました。
おとこの子はぶらんこをこぎ始めました。きーこ、きーこと軋ませながら、ぶらんこは揺れていました。おとこの子ははじめ、にこにこしていましたが、いろんな考え事があるようで、いろんな顔をしていました。それでもやはりぶらんこは、同じようにただ、きーこ、きーこと鳴るだけでした。
そのうち、おとこの子が飽きてどこかへ行ってしまったので、僕は自分で、恐る恐るぶらんこに座りました。きーこ、きーこと何回か揺らしました。でもさっきのおとこの子がまたやってきたので、なんとなく恥ずかしくなって帰る事にしました。
公園を出ようとすると、うしろでやはりぶらんこが、きーこ、きーこと揺れていました。
ヴェーダ時代のインドでは、いけにえを捧げる僧はぶらんこに乗り、これを左右にゆり動かして、太陽が天に昇るのを助ける。ぶらんこの往復は天と地とを結びつけると見なされている。これは天と地とのもう一つのきずなである虹に比せられる。一般
にぶらんこは、雨、豊かな稔り、自然の復活といった観念と結びついている。春には、愛の神カーマと羊の群れの保護者クリシュナとをぶらんこで揺さぶる儀式が行われる。宇宙的規模のぶらんこが宇宙をゆすって永遠の往復運動をさせ、生物や天体はこれに従うのである。
・・・『遊びと人間』ロジェ・カイヨワ
(※この略歴、文章はアートアニュアル'97パンフレットに記載されたものです)
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