安冨 洋貴
Yasutomi Hiroki

profile
1978年 香川県
京都造形芸術大学大学院修了
作品メディア:絵画

-------個展歴-------
2003 「夜まで伸びる道」 滋賀/るーぶる愛知川
-------グループ展歴-------
1997 「全国海の絵展」(一般の部最優秀賞-買い上げ) 愛媛/明浜町歴史民族資料館
2002 「京展2002」(市長賞) 京都/京都市立美術館
2004 「京都造形芸術大学 大学院生展」(大学院長賞) 京都/京都市立美術館
2004 「Common Sense 〜自己から他者へ〜」 京都/京都精華大学ギャラリーフロール
2004 「美術文化展」(努力賞) 東京/東京都美術館 ・ 京都/京都市美術館
2004 「混沌から躍り出る星たち」 東京/スパイラルガーデン

 


works
根拠 ii ・そこに広がる家
1230×1939(mm)
2003
素材:シルバーヒル=ケント紙に鉛筆

comment
私は夜に散歩をします。
 昼間は、全てに対して常に公という名の仮面をつけて接しているようで、群衆の中でストレスがつのります。一方、夜にはそういったものを感じません。その様な、私を縛る鎖は解かれ、個人としての私を認めてくれる様な気がします。
 夜の闇をまとった光景は、昼間のそれとは一変した表情で、私にとってとても優しく映ります。
 自身の眠気も手伝って、夢うつつの状態で歩いています。みえて来る光景は本当に現存するものなのか、私の脳内で繰り広げられる、昔みたことのある光景の記憶の再現か...(その様な事はもうどうでも良くなって)。またそこから想起される夢想の類によって紡ぎ出される物語達。それらが混ざり合って、私にとっての夜が現れます。
 今夜は雨が降っています。ところで、私が育った地域は降雨量が非常に少ない所です。全国平均の約半分程しか降らないらしいのです。単純に計算すれば、私には雨に濡れるという経験が、他の人の半分くらいしか無かったという事になります。その事もあってか、私は雨に濡れるのを極端に嫌います。雨降りの日には傘が不可欠です。皮膚と外的刺激の対象(雨粒)とが接触するという事に対して、自己が他者に侵されていく様なイメージを漠然と持ってしまうのです。その一方で、雨降りの姿は昔から美しいと思っていました。きらきらした豊潤な水が地表を覆い、大氣を洗い、それまでの日常に、そして自分にこびり付いていたしがらみや他愛の無いこだわりまでも洗い流していく様な、そんな感覚が浮かび上がってきます。この姿はきっと私の親や、その親や、そのまた親が生まれるずっと前から、なんら変わらない雨の日の姿なのだと思います。
 そんなことを夢想している内に、私は水溜りに映る、傘の影の方を視ていました。
 夜は漆黒のカーテンで雑類なもの達を覆い隠し、雨がザーザーというサウンドをたてて辺りのあらゆる音を飲み込み、歩を進める私の意識をトリップさせます。
 心が奪われると、その心を奪った対象との距離感が曖昧になります。空間的にも時間的にも、距離感が曖昧になるのです。